チルのすゝめ♨

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都内から行く温泉コスパ旅行(1.秋田編)

こんにちはyuです。都内在住・純温泉好きの私が「都内から行く温泉コスパ旅行」と題し、家族との"激安湯めぐり旅行"の記録を残すための日記となります。今回は「秋田県」に弾丸旅行した経験を記します。

湯の華が舞い踊る温泉。田沢湖水沢温泉郷

1泊2日の弾丸旅行。航空券が極端に安くなる12月24日〜25日を狙い、羽田空港からひとっ飛びで秋田空港へ。その日は爆弾低気圧の影響で無事着陸出来るかヒヤヒヤしながらの空の旅であったが、そこはさすが雪国。早急な除雪で揺れながらもなんとか着陸。次の目的地までは"エアポートライナー"という相乗りタクシーによる移動なのだが、手配の関係で2時間ほどの時間が空いてしまった。空港にはあまり時間を潰せるところもなく、飛行機の揺れでグロッキーになった我々の休息に充てることになった。空き時間を有効活用しコンビニで軽食をとりながら少し休憩。空港のナマハゲに別れを告げていざ最初の目的地を目指す。

初日の予定は田沢湖にある温泉宿「セルリアンリゾートAONI」へ移動し、田沢湖水沢温泉郷を堪能するというもの。航空券とセットの使用でこれまた激安の相乗りタクシー"エアポートライナー"に乗り目的地へ。

到着早々、受付で貸切温泉を予約した。100%掛け流しの温泉を家族で独占できる貴重な時間であるからして、この手の予約には抜かりない。

待ちきれず受付すぐに予約した家族風呂へ直行。田沢湖水沢温泉郷初の入湯という事となる。畳が敷かれた床と、強烈な硫黄臭がする無色透明な掛け流し温泉。秋田県に到着して初めての温泉ながら、一位が出てしまったかもしれない。湯口からコトコトと新鮮な源泉が供給され、入湯と同時に湯が溢れ出す。この日外は豪雪で身体は芯まで冷え切っていた。そんな身体にじんわり温泉が染み渡る。十分温まったら畳へ腰掛け窓からの冷気で身体を整える。冷えたらばもう一度入湯。これを2、3回繰り返したらあっという間に時間切れ。最高の湯であった。

湯上がり後はお楽しみの夕食。プランは日本酒3種飲み比べ。美味しいいぶりがっこの小鉢類・刺身・鍋にはきりたんぽと、豪華秋田飯三昧であった。これは日本酒も進む。

夕食後は締めの大浴場へ。ここでは私の温泉人生で衝撃の出会いがあった。タイル張りの内湯には信じられない量の湯の華が舞っていた。もはや湯の華に入浴していると言っても過言ではない。源泉掛け流しの純温泉である何よりの証拠だ。水面からカバのように顔を出しながら浸かっていると、水平線で湯の華がゆらゆら。身体も心も終始興奮気味であった。内湯をひと通り楽しんだ後、ワクワクしながら露天に移動すると、源泉が滝のように流れており、外気に晒され人肌程度のぬる湯になっていた。10分程度入浴していたが当時は真冬。あまりの寒さに長湯は断念。これまた凄まじい量の湯の花であっただけに残念だが、また夏に訪れたいと思う。

にごり湯の秘湯。乳頭温泉郷

田沢湖水沢温泉郷の名残惜しさも残しつつ、翌日はバスで乳頭温泉郷へ向かう。東京の感覚ではまず走ることは不可能な程の大雪の中、バス停にて待機。

なんとか埋もれずに聳え立つ標識の隣で、本当にバスが来るのか不安になりながら待っていると、馬力のすごいバスが唸りながら目の前に停車。大雪ながら時間通りに来る点と、意外にもpaypayが使える仕様に感銘を受けながら乗車。ひとまず安心しバスに揺られる。

まずは1湯目、大釜温泉へ到着。

雪に埋もれすぎてもはや見えない。日帰り入浴の受付では、優しそうなお爺様が秋田弁で「前日の豪雪で男性露天風呂の壁が崩壊した」(*理解出来ず5回くらい聞き返した)と伝えられたがどうやら入れるらしい。但し、丸見えとの事だった。しかし、その程度で怯んでは温泉好きは語れない。いざ入湯。

まずは内湯。少し緑がかった泉質の完全掛け流し温泉だ。少し硫黄の香りが漂うにごり湯は心なしか身体の芯まで温まった。静寂も相まって五感全てで温泉を感じられた。湯口の下付近に移動すると、湯船の底には白い泥が溜まっている。天然の泥パックに感動であった。

十分に内湯を堪能し、少しのぼせながら露天へ移動。写真の角度からは分からないが、崩壊した壁のせいで駐車場から見ると丸出しである。正直そんな事もうどーでも良く思える程、外は圧巻の景色で。露天に入浴しながら空を見上げると、はっきりとした形の雪の結晶がフラフラと降ってくる。あまりに解放的で、雪が降り注ぐ風景に、まるで野湯に来たような神秘的な気持ちになった。

続いて2湯目は孫六温泉孫六温泉乳頭温泉郷の中では少しだけ外れにあるとの事だが、今回は徒歩での湯めぐり。しんしんと積もる雪の中を歩き続け、20分ほどでようやく到着。登り坂と一面白一色で変わり映えのない景色にしんどくもあったが同時にワクワクがとまらなかった。

本当に営業してるかも分からないような見た目だったのだが、人が見えたので恐る恐るお尋ねすると「よく来たね。大変だったでしょ」と優しくお声がけ頂いた。シチュエーション的にもRPGの世界に入ったような光景に少しはにかんでしまった。

孫六温泉は混浴の露天と内湯、男女別の内湯がある模様。先ずは混浴の内湯。コンクリートの湯船がポツン。相当な温泉好きでなければ、側溝のような打ちっぱなし仕様に戸惑ってしまうと思うほど。しかしながら、そのコバルトブルーに染まったにごり湯は、絵の具のパレットを彷彿とさせる美しさ。これぞまさに秘湯。

露天に出るとなんとも不思議なことに、内湯とは異なり、露天の源泉は無色透明。混浴ということもあり写真は撮れなかったが、隣接した湯船でありながら視覚的特徴が全く異なるところに温泉の奥深さを知った。なお、いずれの湯も混浴ということもあり、ほぼ人はいなかったがソワソワして居心地が悪く、あまり浸かった感想が思い出せないというなんとも情けない状態である。

最後に男女別の内湯だが、脱衣所から扉を開けると目の前には歴史を感じる木目の床と真ん中に湯船、気持ちばかりの桶が二つ。

源泉をじっくり味わって欲しいと言わんばかりのシンプルな設計。肝心の湯はというと、やや硫黄臭香る無色透明。黒色の湯の花がゆらゆら踊っている。どうやら孫六温泉は胃腸に良いらしく、お腹を下しがちな私とっては有難い。効き目は分からなかったが、歴史ある木造の秘湯に大満足であった。

最後に3湯目、妙乃湯孫六温泉から来た道を引き返し、大釜温泉のお隣。これまでの温泉と打って変わって観光客にも優しい綺麗な外観と入りやすいロビー。外国人客も数名いて、大雪にもかかわらず賑わっている。

ここはレストラン併設。そばで腹ごしらえし、最後はプライベート源泉を味わいたく、家族風呂へ入湯。

今までの集大成のような一面雪景色に無色透明、ほのかに硫黄臭香る源泉。これを独占してしまう贅沢は、ここまで乳頭温泉郷を湯めぐりした甲斐があったものだ。もう十分過ぎるほど温泉には浸かったが、一応大浴場にも浸かることにした。

木造の風情ある半露天・山の景色が見える混浴エリアの露天と。景色や開放感も合わせてボーっと長湯出来てしまう、そんな五感全てで味わえる広大な温泉であった。

湯あがりにお隣の休暇村にて、熱った身体を冷ますべく真冬にソフトクリームを一口。これがとんでもなく美味。バターにも似た濃厚なミルク感に舌鼓を打った。アイスで一服していると空港までのお迎えタクシーが到着。帰路へと向かった。

1泊2日これでもかと、秋田の温泉を楽しみ尽くしたタイパ・コスパよしの大満足の"激安湯めぐり旅行"であった。